【體育會蹴球部】「数十年に一度のリーダー」。”初出場年越し”達成の慶應志木で主将を務めたCTB浅野優心(慶大1年)
第105回全国高校ラグビー大会(花園)で見せた勇姿がまだ記憶に新しい浅野優心君。このたび慶大に進学し、ラグビー情報サイト『ラグビーリパブリック』に取り上げられましたので、ご紹介させていただきます。(引用元: https://rugby-rp.com/2026/04/01/domestic/140605)
「数十年に一度のリーダー」。”初出場年越し”達成の慶應志木で主将を務めたCTB浅野優心(慶大1年)
花園では3試合で6トライを挙げた(撮影:三野良介) 春の季節が巡ってきた。
春は、職場や学校に加わった新人に、仕事やプレーを伝える場面が増える時期でもあるだろう。それは学校の同級生にとっても同じだ。小さい頃から競技に親しんできた選手にとっては、ラグビーを始めたばかりの同級生にプレーやルールを教える機会もあるはずだ。
ただ「教える」という行為は、決して一筋縄ではいかない。
「教える」という行為に意識的なスキルがあるかどうかで、自分自身だけでなく、相手のその後の人生に影響を与えうる。
その難しさを知るからこそ、2025年度の全国高校ラグビー大会「花園」で22大会ぶりの”初出場年越し”を遂げた慶應志木高(埼玉)の竹井章監督は、キャプテンのCTB浅野優心に驚かされたのだろう。
昨年度、創部68年目で花園に初出場した慶應志木(埼玉・第2代表)は、徹底的に鍛えたモールを起点に裏表の奇襲攻撃を重ね、一回戦で青森山田に48-12で快勝。さらに2回戦で鹿児島実業を31-17で降し、目標だった年越しを達成。
そして2026年元旦の東福岡戦(3回戦)。前半に0-45と大差をつけられたが、リザーブ8人を投入した東福岡に対して後半モールで攻勢。LO橋本瑛太(3年)がモールから持ち出して1本目、終了間際にもモールを押し込みCTB浅野主将が2トライ目。SH荒木大志はゴール2本を成功。元旦の花園に14得点を刻んでみせた。
竹井監督はCTB浅野主将を「数十年に一度のリーダー」と評していた。4歳からあびこRS(千葉)でラグビーを始め、小学1年時からは宇都宮RSへ。主体性を重んじる宇都宮大大附中ではバスケ部に所属しながら週末にラグビーを続け、小学校に続いて生徒会長も務めた。
慶應志木の竹井監督は、そんなCTB浅野主将のどの部分にリーダーとしての凄みを感じ”数十年に一度のリーダー”と評したのだろうか。元旦の東福岡戦後に訊ねた。
41年にわたり指導してきたベテラン監督が、そこで真っ先に挙げた”凄み”はプレーや言語の能力ではなかった。高校1年生だった浅野主将が、同級生の初心者に寄り添う姿だった。
「彼(CTB浅野主将)は経験者だったので、1年生からレギュラーだったんですね。でも同級生は初心者で、ボールも取れないんです」
「彼はそんな同級生に対して、嫌な顔ひとつせずに教えるんです。日常生活でも、ビデオを一緒に観たりしながら、ひとつずつ教える。経験者というと(周りを見ずに)自分だけでやってしまったり、馬鹿にしてしまったりすることもあると思いますが、彼にはそれがなかったですよね」
慶應志木には元東芝の優勝キャプテン、同部監督も務めた冨岡鉄平氏がOBの伝手で助力していた。竹井監督は、楕円史に名を残すリーダーである冨岡氏から「(CTB浅野主将のようなリーダーは)なかなかいないですよ」と伝えられたという。
「スポットで来てくれていた冨岡(鉄平)さんに『ああいう子に出会えただけでも先生は幸せですよ』と言われたことは憶えています」(竹井監督)
なぜ高校1年にしてベテラン監督を驚かせるほどの”教え方”ができていたのか。慶大の新入生となった浅野優心に訊ねた。
「そこまで意識的にやっていたわけではないです。ただ慶應志木に入学した時から花園に初出場することは常に目標として持っていて、ラグビーの特性上練習は厳しくなりますが、それでも続けてくれる仲間は大事にして、一緒に頑張りたいなとは思っていました」
目標があると取るべき行動が明確になる。浅野には花園初出場という明確な目標があった。そこからの逆算で、初心者が多い慶應志木において、どのようなコミュニケーションがよいのかを選び取った。
また浅野は、自分の言動に対する問いを常に持っていた。
自分は花園に行くにふさわしい人間なのか、という問いだ。
「竹井先生から常々『花園に行くのは人として正しい人じゃないといけない』と言われていました。だからこそ、仲間とのコミュニケーションや、自分の意思を伝えることは大切にしてきました」
自分で掲げた目標を見据える。
その目標に近づくための「問い」を、常に自分に投げかける――。
仲間をサポートする姿勢の裏には確固たる意志があった。浅野には4歳下の弟がおり、日常的に教える立場に回ることが多いことも役立ったかもしれないという。
父で元日本代表の浅野良太氏もまた類い稀なリーダーだった。その父である浅野氏に訊ねると「僕は何も教えてないです。『感謝』『謙虚』『素直』だけしか言ってません」と笑っていた。すべては息子が自分の力で成し遂げたことだと強調していた。
浅野はこの春、慶大法学部に入学した。
同じ宇都宮出身で、昨季流麗なスワーブでエッジを再三切り裂いた慶應志木OBのWTB石垣真之介は卒業した。しかし共に歴史を創った慶應志木の同期からは「5、6人」(CTB浅野)が入部する見込みだという。
最後に、進境著しい慶大における抱負を訊ねた。
「まだチームに入ったばかりですが、レギュラーメンバーに絡めるように努力したいです。あとは慶應全体としての目標である日本一の達成は、これから先も一番の大きな目標になると思うので、今年も含め4年間かけて達成できればなと思います」
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