【開催報告】2025年度 理工学部同窓会総会・特別講演会
10月19日、日吉キャンパスにて2025年慶應連合三田会大会が開催されました。本大会は、慶應義塾の塾員やその家族の「義塾社中」が一堂に会する年に一度のホームカミングデーで、約16,000人が日吉の丘に集まりました。
本年のスローガンは「集え三色旗の下に」。時折雨が降る曇天の空模様でしたが、今年も大会名物の模擬店が立ち並ぶ中、参加者は美味しい食事をお供に「社中交歓」を楽しみました。
会場の一角で当会も例年通り総会・特別講演会を開催いたしましたので、「同窓会報」編集長であり理工学部教授の、高田眞吾君(第48期 電気工学科1990年卒)より、当日の模様をご報告させていただきます。
理工学部同窓会総会・特別講演会 開催報告
講演テーマ「「北里柴三郎のひととなり」~恩師 福澤先生への報恩を中心に~」
講演者:北里英郎氏(「北里柴三郎記念館」名誉館長/北里大学名誉教授)
2025年10月19日(日),日吉キャンパスにおいて連合三田会が開催され,同日の13:00よりJ11教室において,理工学部同窓会総会・特別講演会が開催されました.
まずは落合同窓会会長より歓迎の挨拶のあと,朝倉副会長より今年度の同窓会奨学生15名の紹介がありました.奨学生を代表して,林翔時君(物理情報工学科4年)からお礼の挨拶がありました.
続いて,北里英郎氏による特別講演会「北里柴三郎のひととなり」~恩師 福澤先生への報恩を中心に~」がおおよそ120名の前で行われました.英郎氏は柴三郎氏の曾孫にあたります.講演そのものは事前に撮影された動画をまず会場に流し,そのあと対談形式で行いました.動画の撮影は英郎氏が名誉館長を務めている北里柴三郎記念館の「貴賓館」2階で行われ,バックには美しい景色が映っていました.
講演は,柴三郎氏に関する話と,記念館の紹介の二部構成でした.柴三郎氏の生い立ちから始まり,エピソードの紹介がいくつかありました.16~17歳のとき「学問を志す以上は,世の中のためにならねばならぬ」ということを学び,これがその後の人生に大きな影響を与えました.オランダ語を学ぶつもりで熊本医学校に入り,そこでマンスフェルト先生に出会いました.医学のすばらしさを知り,医学の道へ進むことになりました.東京大学を卒業後,実学の精神を生かしたいため内務省に入り,ドイツに留学しました.そこでは細菌学の父と言われたコッホ先生に出会いました.留学中,破傷風菌の純粋培養に成功し,さらに免疫血清を作りました.6年間のドイツ留学を終えようとしたとき,イギリスやアメリカの大学からの招聘の話がありましたが,それを固辞して,日本に帰国しました.しかし,帰国後,研究の場がなく,そこで福沢先生の援助により「私立伝染病研究所」を開設しました.そこでは,ペスト菌の発見などの成果がありました.伝染病研究所が内務省から文部省へ移管するときに,新たに北里研究所を設立しました.慶應義塾大学医学部開設にあたり,恩師の福沢先生に報いるため,給料は一切受け取らないことを条件に医学部長・病院長を引き受け,実際8年間報酬を受け取りませんでした.仕事に対しては非常に厳しく,内部では雷(ドイツ語でドンネル)を何度も落としたものの,外部に対して自分が責任を取るという親分肌であることも紹介されました.後半の記念館の話では,新千円札の原画や,幼少期に顔が映るほど磨いたとされる縁側の一部など,展示をいくつか紹介しました.ビデオ講演のあと,真田教授との対談コーナーがありました.会場からも質問を受け付け,温かい拍手で終わりました.
講演のあとは,朝倉副会長により総会が開催され,2024年度の会計報告、事業報告、今年度事業計画および予算が報告された.総会・特別講演会は14:50ごろに終了となりました.
写真と文/高田 眞吾
(第48期 電気工学科1990年卒
理工学部教授・同窓会報編集長)







