理工学部同窓会奨学金OB・OGの現在(小谷竜也君)

理工学部同窓会では、2015年度より毎年塾生に向けて「理工学部同窓会奨学金」の募集を行っています。奨学生に選ばれた塾生には、1人につき年額60万円の奨学金が支給されます。(ご参考:慶應義塾大学理工学部奨学金規程奨学金リーフレット P.5上段 指定寄付奨学金)

エッセイ募集

現在、「理工学部同窓会奨学金」の奨学生OB・OGの皆さまを対象に、エッセイを募集しています。たくさんのご応募を、楽しみにお待ちしています。

理工学部同窓会奨学金の元受給者を対象に、エッセイを募集いたします。

ご自身の理工学部生時代を振り返り、「同窓会奨学金制度によって実現できたこと」について教えてください。ご提供いただいたエッセイは、秋に発行される『同窓会報』あるいは『同窓会ホームページ』に掲載させていただきます。

1.募集内容

テーマ:「理工学部同窓会奨学金制度によって実現できたこと」について自由に表現したエッセイ
1,000字程度(ワード文書あるいはテキストファイル)

※ できれば、現在のご自身が写っている写真(JPEGファイル)を3枚程度ご提供いただければ幸いです。

2.応募資格

理工学部同窓会奨学金の元受給者

3.応募方法

メール添付にて理工学部同窓会事務局あてにお送りください。

4.募集人数

複数名

3.受付期間

随時(最終締切 2024年7月10日)

 

お問合せ先:慶應義塾大学理工学部同窓会事務局

E-mail keio.fst.alumni@gmail.com

過去に採用されたエッセイ

2020,2021年度に本奨学金に採用された小谷竜也君は、当時、物理学科の学部生。その後は大学院へ進学しました。小谷君のエッセイについては、2023年度発行の同窓会報第87号にてご紹介させていただきましたが、今一度、同窓会ホームページに掲載させていただきます。

現在の学生生活について

理工学研究科修士1年

小谷 竜也

(2020,2021年度同窓会奨学金採用者)

私は現在、理工学部物理学科の岡研究室に所属し、遠方天体の観測によって宇宙の起源と進化の歴史を探る研究をしています。私の注目する天体は、地球から約100億光年彼方で煌々と光り輝く天体「クェーサーPKS1830-211」です。遠方の宇宙からの光が地球に届くまでは時間がかかるため、遠くの宇宙を観るということは、昔の宇宙を観るということに対応します。そのため、クェーサーからの光は昔の宇宙の情報を我々に届けてくれます。その意味でクェーサーは宇宙の歴史を知るには最適ですが、100億光年も遠くにある天体を観察するためには相当「視力の良い」望遠鏡が必要になります。そこで私が用いたのが、チリのアタカマ高地に建設された世界最高感度の電波望遠鏡であるアタカマミリ波サブミリ波干渉計(略称ALMA)です。私はALMAで観測されたアーカイブデータを解析することで、昔の宇宙に満たされていた宇宙背景放射の温度を測定しました。それにより、現在の宇宙が熱い火の玉から始まって断熱膨張し現在に至るという「ビッグバン宇宙モデル」を支持する結果を得ました。

今年の3月末には、国立天文台三鷹キャンパスにて開催された「2022年度 宇宙電波懇談会シンポジウム」に参加し、この研究をポスター発表させていただきました。宇宙電波懇談会シンポジウムは、電波天文学の研究者が日本全国から集い、最新の研究成果を共有して今後の電波天文学について検討するシンポジウムです。今年は「2030年代の電波天文学」をテーマに、系内銀河や星形成、遠方銀河、観測装置開発など様々な分野の電波天文学者が集い、意見交換を行いました。私が出展したポスターセッションでも盛んに議論がなされ、多くの研究者の方々から意見や質問もいただきました。今回のポスターセッションを通して、私の研究をより多くの研究者の方に知っていただけたことは勿論、質疑応答を通してこれまで持っていなかった視点や、私自身抱いていた疑問に対するヒントをいただき、非常に有意義な機会であったと実感しております。今後もこのような機会には積極的に参加し、情報発信ならびにインタラクションすることで、次世代の電波天文学の発展に貢献して参りたい所存でございます。

4月から慶應義塾大学大学院に進学したので、理工学研究科にて研究を一層深化させるべく励んでおります。また、5月には先述のクェーサーを自らの手で観測すべく、ALMA望遠鏡に観測提案書(プロポーザル)を提出しました。これにより、観測データを増やし、さらなる精度向上を目指します。

以上が私の現在の学生生活の概略でございます。このように私が研究活動に邁進できるのも、ひとえに理工学部同窓会奨学金を通して同窓会の皆様方にご支援いただけた賜物であると日々実感しております。多大なる御支援に心より深く感謝申し上げると共に、今後も慶應義塾大学理工学部の発展に貢献して参りたい所存でございます。

甚だ未熟者ではございますが、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

(左)ポスター発表を行った国立天文台三鷹キャンパス前での写真。

(右)発表したポスターと私の写真。

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